来る日も来る日も 山を越え、谷を渡り、道のない山の中をただ化
鳥を追って走り、洞穴や 木の根を枕に眠りました。でも、夢の中にも化鳥が出てきました。犬と鷹を一緒に、飛び走りました。
だんだん心細くなってきました。中には疲れて、疲れ果て、死んでゆ
く家来やせこもいました。
甚平も、馬も、家来も、犬も、鷹も皆疲れていました。なんとしても退
治しなければと。
「化鳥、見ておれっ。」という気持ちだけで戦うしかなかったのです。
そんななかで、きじは チラッ チラッと姿を見せました。
「出た、出た、出た。」 「やっつけろ、今だ」
口々に叫びながら犬は地をけり、鷹は見失うまいと飛びました。
甚平は陣頭に立ち、家来を励まし馬を走らせました。
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